Facebookでグローバルにビジネス! キーワードはエスノグラフィー
目覚ましい発展を続ける新興国において、Facebook活用でビジネスチャンスを手にしていこうとする動きが出てきているようです。
そこで大切なキーワードとなるのが、「エスノグラフィー」です。
◆エスノグラフィーとは?
エスノ(Ethno)は「民族」を意味し、グラフィー(Graphy)は「記述」を意味し、2つを組み合わせて「民族誌」という意味になります。
文化人類学や社会学においては、集団や社会の行動様式を調査し、記録することやその調査書の事を指します。インタビューや観察から定性的に調べることが特徴です。
◆エスノグラフィーの活用法
多くの企業が顧客動向を知るために実施しているアプローチ手法に限界が見えてきたために台頭してきたものです。
複雑化する今の世界において、アンケートだけの結果からでは正確なニーズやトレンドをつかみ取ることができないということから活用され始めました。
これまでのマーケティングでは、企業側が用意した評価基準にのっとった手法で改善が繰り返されましたが、世界をターゲットにすると国ごとに違いがありすぎて評価基準が意味をなさなくなります。
今後は、その国、その地域の人々の活動を理解することから、ニーズを探る「人間主体」のアプローチを行うことが大切となります。
◆エスノグラフィーのメリット
エスノグラフィーは先に述べた通り、現地に入って、観察やインタビューを行い、そこで生活する人々の文化や社会システムを理解することからアプローチしていきます。
ポイントは「聞く」のではなく、実際の行動を「直接観察」して、消費者自身も気付いていないようなニーズを探す点です。地域に溶け込み、リアルな状況で観察することもポイントの一つです。
POSからは把握できない実態が把握できることも大きなメリットです。
なぜ買ったのか、なぜ売れたかが、分析から分かっても次に「何が売れるか」は見えづらいものです。
行動観察や地域に入って行う綿密なインタビューは新しい市場、隠れた需要を見出すきっかけとなると言われています。
日本企業でも消費者の行動観察やグループインタビューなど、聞き取り調査を実施しているところは多々ありますが、エスノグラフィーで組織的に実践している事例はまだまだ少ないとのことです。
◆エスノグラフィーの導入事例
大手印刷会社の大日本印刷では新サービス開発に活用しており、2009年に始めた「Magitti」というサービスの開発にあたり、渋谷の若者にインタビューを繰り返し、エスノグラフィー的なアプローチによって、
消費者の潜在的な需要を吸い上げてサービスの構想を練り上げた実例があるようです。
◆エスノグラフィー利用の注意点
新興国では、Facebook自体の伸びを見てもはっきり分かる通り、なんでも急速に伸びる傾向があるようです。
お国柄、階層がはっきりしており、生活格差もかなりの開きがあるという特徴を持ち、また新技術に対して、積極的なことも特徴の一つとなっています。
こうした背景を理解しないまま行うことには注意が必要です。
エスノグラフィー利用タイミングとして、
・その地域性、市場について何も分からない時
・市場の枠組みや競争のルールを変えたいときに
取り入れるべきとしています。
また一方で、既存のサービスの問題点を調査して、改良を加えることには利用するなと言われています。
それは高価格として反映され、機能を減らして価格を下げるパターンに陥りがちであり、新興国の人は機能を減らしたサービスを必要としてはおらず、ニーズにあったものにはならないということです。
◆Facebookとのコラボ
このような新しいマーケティング手法を確立したら、新興国向けにリリースする手段として、Facebookが有効的であると言われています。
Facebookを活用していくことで、諸外国に対して、瞬時に、その国の言葉で情報をリリースしていくことが可能です。
「エスノグラフィー」と
「多言語展開を可能にするFacebook」の組み合わせは、今後のビジネス変革期において、大きな役割を果たすのではないかと期待されています。
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